主要7カ国首脳会議(G7サミット)が6月26日から28日まで、ドイツ南部エルマウで開かれました。会議2日目には「気候、エネルギー、保健」をテーマにしたセッションが開かれ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策などについても議論されました。
日本の外務省や現地からの報道などによると、昨年のサミットで各国が約束した8億7000万回を超える11億7500万回以上のワクチンの提供をさらに進めていくほか、将来のパンデミックへの備えを進めることを確認しました。岸田首相は、日本がCOVAXに対して、最大15億ドルの拠出を約束しているほか、約4400万回分のワクチンの現物供与を実施したことを報告しました。またワクチンが現場に実際に届けられ、接種に至るまでの支援(ラスト・ワン・マイル支援)を、二国間協力などを通じて、アフリカや中南米など、合わせて77カ国・地域で実施されたことを紹介しました。
最終日には、首脳声明(コミュニケ)が発表され、この中で、ACTアクセラレーター(ACT-A)がパンデミック対策の中核を担っているとの認識を示し、資金や現物支給を通じた支援の重要性を改めて強調しました。また5月にオンラインで開かれた「第2回新型コロナサミット」で合意された、パンデミックの予防や準備、対応のための新しい金融仲介基金(FIF)を世界銀行内に設立することを支持しました。
一方、専門家らからは、ウクライナ侵攻などの議論に多くの時間が割かれた結果、昨年のサミットと比べ、COVID-19対策をめぐる議論は低調だったとの指摘が出ています。ワクチンの公正な配分を求める市民団体「The People’s Vaccine Alliance」は声明を発表し、G7が約束したワクチンの一部はまだ実際に配布されていない、と指摘したうえで、ジェネリック医薬品を途上国が製造できるように、知的財産権の一時停止などを求めました。
【参考】
外務省「G7エルマウ・サミット(概要)」 (首脳声明(コミュニケ)の原文および仮訳もこちらからご覧になれます。)