背景

ACT-A WATCH

「ワクチン開発を100日で」CEPIが新目標 35億ドルの資金を国際社会に呼びかけ

ワクチン資金外交日本と世界
Oxford大学とAstraZeneca社が開発したCOVID-19ワクチンのインドでの製造の様子 ©Gavi/2020
(写真)Oxford大学とAstraZeneca社が開発したCOVID-19ワクチンのインドでの製造の様子(Serum Institute of India (SII)社の"Covishield") ©Gavi/2020

ACTアクセラレーター(ACT-A)のワクチン部門を担う「感染症流行対策イノベーション連合」(CEPI、セピ)は、新しい流行病やパンデミックに対するワクチンを100日以内で開発する目標(100日ミッション)(注1)を新たに掲げる計画を発表しました。5年にわたる計画でCEPIは、政府や民間企業などに対し、合計35億ドルの資金提供を求めています。2022年3月7、8の両日、ロンドンで英国政府と共催した「世界パンデミック対策サミット」には、20カ国を超える政府や国際機関、企業、民間財団、市民社会などが参加し、CEPIの計画を支持するとともに、累計で15億3500万ドルの拠出表明がありました。

新たなワクチンの開発・製造を目指す国際的な官民連携パートナーシップであるCEPIは、各政府や製薬企業、民間財団などが資金を拠出し、2017年に発足しました。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)ワクチンの開発への支援にも関わり、従来と比べると、約300日という短期間での開発に漕ぎ着けました。一方で、より早い開発と製造は、初期のパンデミックを食い止め、制御することにつながります。今回の計画によると、COVID-19の場合、100日というスケジュールであれば、2020年12月ではなく、4月中旬にワクチンが使用できるようになり、「何百万人もの死亡と何兆ドルもの経済的損失を回避できたかもしれない」と説明しています。こうした教訓を踏まえ、新たな脅威を早期発見し警告を発するためのサーベイランスの改善や、医薬品以外の介入策の迅速な利用とともに、100日以内にワクチンを接種すれば、パンデミックの可能性を持つ新たな病原体の脅威を抑えることができる、としています。

計画では、すでに知られている病気(ラッサ熱、MERS=中東呼吸器症候群、ニパウイルスなど)に対するワクチンを開発することにより伝染病やパンデミックがもたらすリスクを軽減するとともに、COVID-19での科学的進歩を踏まえ、「疾病X」(大流行の可能性を持つ未知の病原体の脅威)にあらかじめ備えるとしています。また「変異株に強い」COVID-19ワクチンや、すべてのベータコロナウイルス属(注2)に対する幅広い防御機能を備えたワクチンなど、世界的に利用しやすい次世代ワクチンの開発作業を強化するとのことです。

これまでのところ、英国やノルウェー、米国、ドイツ、インドネシア(22年G20議長国)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが資金拠出を表明しています。日本はサミット開催前の2月25日、3億ドルの拠出表明を行いました。厚生労働省の発表によると、岸田首相がこの日、CEPIのハチェットCEOと電話会談し、CEPIの取り組みは「パンデミックという人類共通の課題に対応する上で大きな意義を有するものであり、我が国自身のワクチン開発・製造を一層促進する上での一助となり得る」と述べ、支援を約束しました。

 

(注1)100日ミッション: 2021年7月に英国コーンウォールで開催されたG7サミットで最初に発表された。 詳細(英文)はこちら
(注2)ベータコロナウイルス属:コロナウイルスのうち、ヒトに感染し、重篤な症状を引き起こすこともある、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス、SARS-CoV-2(COVID-19の病原体)などを含む(なおSARS-CoV-2のうち、「懸念される変異株(VOC)」に分類される「ベータ株」とは異なる)。

一覧に戻る

NEWSNEWS

  • G7サミット、COVID-19対策を議論 パンデミックに備える新たな金...
  • 治療部門の現状や課題を発表/ユニットエイド
  • 日本政府がGaviに資金拠出を表明/ワクチンの生産や供給を後押し
  • IMFのワーキングペーパー「新型コロナの長期にわたるリスクを管理するた...
  • ワクチン接種の目標、再考を/重症化リスクが高い人を優先に(米国公共ラジ...
検索