世界保健機関(WHO)によると、アフリカでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者は実際の14.2%、7人に1人しか確認されていないことが分かりました。このためWHOアフリカ地域事務局は2021年10月14日、8か国(ブルンジ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ギニアビサウ、モザンビーク、コンゴ共和国、セネガル、ザンビア)で地域におけるCOVID-19の検査を強化する新しいイニシアチブを発表しました。このイニシアチブは、2022年に迅速抗原検査キットを用いて700万人以上に検査を実施することを目指しています。
WHOによると、Resolve to Save Livesが開発したCOVID-19 Prevalenve Calculatorを用い、報告された症例数と死亡者数、および感染致死率に基づいて推定したところ、21年10月10日現在、アフリカにおけるCOVID-19の累積感染者数は5900万人と推定され、これは報告されている800万人強の症例の約7倍にあたります。アフリカでは、海外からの旅行者の到着・出発時の検査に加えて、症状を訴えて医療機関を訪れた人に焦点が当てられており、アフリカ大陸では無症状の感染者の割合が高いことから、大幅な過少報告につながっています。パンデミックが始まって以来、同日時点で、アフリカ諸国から報告されたCOVID-19の検査件数は7000万回を超えていますが、これはアフリカ大陸の13億人の人口に比べるとごくわずかです。
現在、アフリカでは840万人以上の感染者が確認されており、そのうち21万4000人が死亡しています。ここ数週間で患者数は減少しているものの、ワクチン接種率は依然として低く、アフリカ大陸の54カ国のうち、人口の10%に完全にワクチンを接種しているのはわずか30%です。一方で、半数弱の国々では、2回のワクチン接種を完了している人は人口の2%以下です。比較的若い人口が多いために無症候性感染率が高いアフリカ諸国では、感染を減らすために、より積極的な地域検査の取り組みが特に重要となります。推定では、感染の65%から85%は、ほとんど、もしくは全く症状が出ていません。このような無症状の人々が、重症化したり死亡したりする可能性のある脆弱な人々への感染を広げているのです。
このCOVID-19の検査を強化するイニシアチブでは、過去の天然痘やエボラ出血熱などでの経験を生かし、最も感染リスクの高い人にワクチンを接種し、感染者が発生した地点から半径100 m以内に居住する人に検査を実施するとともに、マスクや手指消毒薬を含む衛生キットを配布します。検査陽性の場合、症状に応じて自宅療養か治療センターへの搬送かのアセスメントを行います。また、1週間に1万人あたり10回の検査を行うというWHOの推奨基準を達成できるよう、検査能力を強化します。