世界保健機関(WHO) が今年5月に定めた、12月末までのワクチン接種率の目標(全人口の40%が接種完了)について、アフリカでは1割に満たないわずか5カ国しか達成できない見通しであることが分かりました。WHOアフリカ地域事務局によると、すでに目標に到達したセイシェル、モーリシャス、モロッコに加え、現在のペースで接種が進んだ場合、チュニジアとカーボベルデだけが達成できる見通しのことです。
背景には、ワクチンの供給が大きく遅れていることに加えて、自動無効化注射器*の深刻な不足があるといいます。WHOによると、既にケニアやルワンダ、南アフリカで納入遅れが発生しています。アフリカ地域事務局のモエティ局長は「来年初めには、ワクチンが続々と届き始めるが、注射器不足が進行を滞らせるかもしれない」と懸念を示しています。特に、ファイザー社製ワクチン接種用の0.3 mlの自動無効化注射器は少なくとも来年3月頃までは供給が逼迫すると見られています。
アフリカでは、これまで7700万人がワクチン接種を完了しています。これは地域全体の人口のわずか6%にすぎません。今後、年内目標の接種率40%を実現するためには、2億7500万回のワクチンが足りないとされます。
アフリカ各国にも課題は山積しています。42%の国は地域レベルでの接種計画がまだ立てられていません。WHOは現在、アフリカの5カ国において、WHO専門家と現地当局、現地パートナー組織などが協力してワクチン接種加速化のための緊急支援を行っており、これに加えて10カ国への支援も計画しています。
* 自動無効化注射器: 注射器の再使用による病原体の感染を防ぐため、一度使用すると、自動的に部品が外れて使えなくなる注射器
[動画で解説(ページ下部 Three things you may not know about syringes)]
UNICEF The right choice of a syringe
出典:WHOアフリカ事務局
Less than 10% of African countries to hit key COVID-19 vaccination goal